久しぶりの浴室在来工法

昨今での住宅やホテルの客室のお風呂は、ほとんどがユニットバスが採用されていますよね。理由は、安価、高性能、施工難度の低さなど採用においてはメリットがとても多いからではないでしょうか。パーツ化された部材を現場で組み立てるだけなんだから本当に施工者は楽ちんこの上ありません。まあ、家自体もユニット化で建てる事が出来るのですからお風呂なんて当たり前といえば当たり前ですよね。一方在来工法で一から造り込むお風呂は、高価、施工難度は非常に高く、品質は設計施工者の依存度が大変高く、言い方悪いかもしれませんが、当たりハズレがあるのかもしれません。いいところといえば、大きさなどの規格はなく、デザインも自由に世界で一つだけのものを造ることが出来ることでしょうか。先日在来工法の浴室のやり替えのオファーをいただき、まもなく完成するのですが、そこは梅田のホテルの2階風呂で、風呂一つ造るのに1か月、、、下手したら家が出来てしまうくらい時間がかかりました。簡単なプロセスは

①解体→②防水下地→③タイル石下地→④防水→⑤浴槽据え付け→⑥エプロンブロック→⑦タイル石工事→⑧水栓金具取り付け→⑨コーキング

ざっと、9工程、それぞれの工程ごと日数が必要なので大変時間がかかります。そして設計ではタイル石の割り付けが重要で、これがすっきり出来ないと、すべて台無しになってしまうといっても過言ではありません。

写真は防水工事が終了し、浴槽を据え付けた後、浴槽の排水テストと、水を一晩貯めて階下に漏水しないか確認しているところです。

当社の実績としましては、在来のお風呂の設計施工がほとんどですので、今回の工事も特別ではありませんが、最近では多くの工務店が在来を嫌がるようになってきているようです。今後は、時間とお金がかかり、仕上がりにリスクもあるという事をお客様に理解を求めた場合、在来風呂採用は更に少なくなるのかもしれません。当社の言う仕上がりのリスクというのは技術面ではなく、ユニットバスなどはショールームに行けば同じものを確認することが出来るので容易に仕上がりをイメージできるのに対し、在来は中々仕上がりイメージを明確に出来ないため、完成後の悪い方のイメージギャップがあった場合の事です。

建築業界に限らず、ものつくりに現場の技術がいらなくなってきている今日この頃、この道1年!といえばいっぱしの職人?が主流になってきているこの時代、しばしば複雑な心境になってしまいます。